DX時代のコールセンターVOCとは?一歩先を行く活用術と事例

November 22, 2022

コールセンターだけでなく、様々な業界でVOC(顧客の声)を活用しようという動きが広がっています。本記事では、VOC活用の事例や、データを収集しているものの、分析や活用までには至っていないといった企業の課題を踏まえながら、VOCの価値を最大限に引き出すためのポイントをご紹介します。

コールセンターにおけるVOCとは?

VOC(Voice of Customer)とは「顧客の声」を意味し、アンケートや口コミ、コールセンターへの問い合わせといった顧客からのあらゆる評判や感想を総称したものです。顧客の率直な意見を分析することで、製品サービスの改善や、競合比較、マーケティング戦略の立案など、幅広い分野で活用することができます。

クレーム処理というイメージが強いコールセンターですが、VOCの観点から見れば、コールセンターは顧客の声の宝庫であり、企業活動に役立つ多くのデータが集まる場所と言えます。

コールセンターにおける顧客の声の例

  • 音声通話
  • チャットテキスト
  • アンケート
  • 顧客情報と応対履歴を紐づけたCRM
  • NPS(顧客ロイヤリティ指標)

VOC活用の重要性

NICEが行ったCXに関する調査では、顧客のニーズと企業側が提供するサービスに、大きなギャップがあることが明らかになっています。こうしたギャップを埋めるために必要なのが、顧客が何を求めているかをまずは理解することです。すなわち、顧客の声に耳を傾けることが重要になります。

顧客理解を深めることで、オペレータの生産性やCX向上を実現できるだけでなく、顧客ロイヤリティの向上や離反防止にもつながり、売上にも大きな影響を与えます。よって、VOCはうまく活用すれば、コールセンター運営改善だけでなく、企業全体にも大きなメリットがあるのです。

コールセンターVOC活用のメリット

VOCの収集方法

コールセンターでVOCを収集する際には、音声通話をテキスト化する音声認識ツールや、応対終了後の顧客アンケート、顧客情報や応対履歴を管理するCRM、膨大なテキストデータを分類・集計するテキストマイニングツールなどがあります。

VOCを収集する主なツール

  • アンケートツール
  • テキストマイニングツール
  • 音声認識システム
  • CRM

ただ、近年は電話だけでなく、SNSやチャットなど応対チャネルが多様化しているため、複数チャネルで横断的にデータを収集、分析できる包括的なツールを選ぶ必要があります。部分的な顧客データだと全体像が見えにくく、正しい意思決定をすることが難しくなるためです。

VOCを活用した事例

センター運営においてVOCを活用し、顧客満足度の向上や業務の効率化に成功した実際の事例をご紹介していきます。

1.顧客離反の原因を捉え、顧客ロイヤリティを向上

とある携帯キャリア会社では、料金プランに関する否定的なワードが頻出するようになったため、料金に関する応対を優先的にモニタリング。料金に納得してもらうための説明が不十分なのではないかという仮説に基づき、マーケティング訴求を変更しました。


さらに、料金が高いためサービスを解約したいと訴えるユーザー向けに、専用のサポートチームを確立し、十分なサービス説明や競合との違いを明確に伝えた上で、安いプランや料金を抑える方法についての提案を行いました。その結果、年間の平均NPSが87.5(業界平均は35)にまで大幅に上昇しました。


2.クレーム化しそうな問題に事前に対処、応対件数を削減

世界的な大手音響メーカーでは、コンタクトセンター業務の効率化とCX向上を優先順位の高い課題に掲げていました。そこで音声認識システムとテキスト解析を活用し、オペレータのトレーニングや業務効率において改善すべき領域を特定。

リアルタイムの音声認識で、オペレータのデスクトップにガイダンスを表示することで、オペレータのスムーズな応対を支援し、さらに、クレームに発展しそうな問題を事前に発見することで、応対件数の削減にもつながりました。これまでは事後対応型になっていた顧客サービスを、事前に対処する体制へと転換することに成功しています。

3.応対件数が多い原因を特定し、効率的なオペレータ支援を実施

採用者の身辺調査を行う会社では、エクセルを使って顧客の声をまとめていましたが、データを活用した業務改善や関連部署へのフィードバックが不十分であることが課題でした。そこで、CRMや分析プラットフォームと連携できるVOCツールを導入。

応対件数が多い話題を特定し、応対中にその話題が出た時は、オペレータのデスクトップ画面に、ガイダンスを表示することでオペレータがすぐに参照できる体制を確立しました。さらにFAQでは、その項目に対する回答がわかりづらく、見つけにくいことが判明したため、回答をアップデートした上でFAQの目立つ場所に回答を設置し、10未満だった顧客満足度スコアが、80近くまで大幅に向上しました。

VOC活動における壁を乗り越えるには

多くのコールセンターがすでにVOC活動に取り組んでいる一方で、データを蓄積するだけで、分析・活用には至っていないというケースも少なくありません。

VOC活動における企業のよくある課題

  • どうデータを活用すればいいか分からない
  • データを分析する人材がいない
  • レポートが形骸化している
  • ITツール導入の予算がない

データ活用の目的をまずは明確に

データを収集する際には、データを通じて何を知りたいのかという”問い”を明確にしておく必要があります。例えば、RPAやチャットボットを導入し自動化を進めているコールセンターの場合、顧客データを分析することで、

  • 呼量削減につながる問い合わせは何か
  • 見直すべきFAQはどこか
  • IVRで改修の余地はないか
  • 自動化が必要な作業は何か
  • オペレータのトレーニングを強化すべき点はどこか

といった問いに答えることができます。

本質的なKPIの設定

データを収集する際には、単純に応対件数やワードを分類・集計するだけでなく、NPSや顧客満足度など顧客ロイヤリティに関わる本質的なKPIを設定することも重要です。表面的なKPIを追うだけでは、顧客体験や売上向上につなげることが難しく、せっかく収集したデータが、結局”活用できないデータ”となってしまうからです。

ビジネス目標に直結するKPIを設定することで、データの価値を最大限に引き出すことができます。

アクションにつなげるVOC活用を意識

分析専門の人材がいないという場合でも、サービスによっては専門のコンサルタントによる分析サービスを提供しているところもあれば、ツール上で収集から分析・実施までを自動で行う包括的なVOCツールもあります。

ツールの選定にあたっては、データをアクションにつながる形で抽出することができるか、複数チャネルでの応対や音声通話をすべてもれなくデータ化し、横断的に分析できるかといった点にも留意する必要があります。その際には、CRMやCTI、自社で使っている既存システムと連携ができるか、という点も押さえておくと良いでしょう。

DX時代のVOCとは

DXが重視される昨今では、やみくもにデータを収集するだけでなく、いかに効率的に膨大なデータを集めるかという点も見直す必要があります。エクセルを使って管理し、目視で顧客データを管理している場合には、分析にバイアスがかかったり、チェックできるデータの数も限られてきます。

オールインワンのVOCツールを使えば、必要なチャネルからすべての応対データを収集し、関連性や重要度に応じてデータを抽出。さらにアナリスト人材を雇わなくても、ツール上で自動分析を行い、オペレータ支援や業務効率化のための施策リストアップ、実行、効果測定までをワンストップで行うことが可能です。

AIやテクノロジーは人間の仕事を奪うのでは、という考えもありますが、むしろこれまで手動でやっていた管理や分析をITテクノロジーに任せることで、売上向上や経営戦略など人間にしかできない重要な課題に集中することができるようになります。

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DX時代におけるコールセンターVOC

NICEが提供するVOCワンストップソリューション

NICEの分析ツールには、VOC活動に必要なあらゆる機能がオールインワンでそろっています。複数チャネルやCRMを含め、あらゆるデータを1つのツールで集約でき、分析から施策の実行までを自動で行うことができます。

クアドラント・ナレッジ・ソリューションズ社が発表した「SPARK MATRIX™ 顧客の声部門」で、NICEはテクノロジーリーダーに選出されており、センター運営の業務改善にとどまらない、一歩先を行くVOC活用を支援しています。

NICEVOCソリューションの特徴

  • チャット、電話、メール、IVRなどあらゆるチャネルの応対データを収集
  • 顧客の声収集から施策実行プロセスを自動化
  • オペレータのスキル強化を支援
  • コンタクトセンターの枠を超え、顧客のロイヤリティを向上

NICEは、お客様の課題やニーズに応じて、幅広いプロダクトポートフォリオの中から、最適なソリューションをご提案します。「VOCを活用して業務改善を行いたいが、どこから手をつけたらいいかわからない」などVOCに関する課題をお持ちの方は、お気軽にご相談ください