コンタクトセンターのオペレーターは、お客様の対応をするだけでなく、その対応次第で会社のイメージを左右するため、会社のトップブランドアンバサダーといっても過言ではありません。オペレーターを大切にしなければ、オペレーターはお客様を同じように扱い、連鎖的に貴社に対するネガティブな印象を与えることになります。
オペレーターのモチベーションが下がっているとしたら?貴社は対応の悪い企業に見えてしまうのです。
オペレーターが問い合わせに答えられないとしたら?貴社は無能に見えてしまいます。
「少々お待ちください」「確認いたします」が多すぎる?お客様が情報を繰り返している?お客さまの利便性を気にしていないのでしょうね。
コンタクトセンターで働くオペレーターは、たくさんの大変な仕事をこなしています。製品やサービスについての知識が求められるだけでなく、いつでも、どのチャネルでも対応できることが求められています。そして、お客様の問題を明確に、即座に、そして疑問の余地がないように解決することが求められ、そうでなければお客様の怒りに直面することになります。
そしてコールセンターのオペレーターの仕事は大変なだけでなく、周りから感謝されることもあまりありません。オペレーターは怒っているお客様から感謝されることも多くありませんし、自力で回答を導き出したとしても、達成感を感じることは少ないでしょう。
そしてオペレーターは、辞めていくのです。
オペレーターの存在意義を育む
では、コールセンターの仕事はひどいという認識をどのように和らげればいいのでしょうか?企業がオペレーター(広義では、お客様)に対して、オペレーターと彼らの成功を重要視していることをどう示しますか?
それは存在意義を育むことです。
自分の仕事がやり甲斐があると答えた従業員は、残念なことに10人中2人だけです。これは以下の2つの結果を含む、悲しい統計です。
オペレーターの真の存在意義を育むためには、お客様の問題を解決し、給料をもらうことだけでは十分ではありません。最善の方法は、お客様と同じようにオペレーターを大切にすることです。オペレーターは、お客様と同じように以下を期待しています。
オペレーターエクスペリエンスを優先させると、オペレーターのパフォーマンスが向上するだけでなく、顧客満足度(CSAT)も向上し、ブランドの評判を守ることができます。
ここでは、オペレーターの存在意義を育むために必要なアイテムをご紹介します。
オペレーターを重視する
次の対応のうち、オペレーターがより評価されていると感じられるのは前者と後者のどちらでしょうか?
シナリオ1. セルフサービスを何度か試してもうまくいかず、イライラしたお客様はオペレーターに電話をします。その際、お客様はすでにセルフサービスで提供した自分の情報と起こった問題について再度説明を求められます。一方で対応するオペレーターは、以前に平均処理時間(AHT)が長いことを口頭で注意されています。オペレーターは、お客様の話の内容や声のトーンなどの怒りの合図に注意を払わず、上長から再度叱責されることを心配します。それにより、オペレーターはあらかじめ書かれているスクリプトを急いでこなすことだけに注力してしまうのです。
シナリオ2. 別のイライラしているお客様が何度かセルフサービスを試した後、オペレーターに電話した例です。オペレーターはすでにそのお客様の情報を入手しており、お客様が問い合わせ前に試した作業についても理解しています。オペレーターは正しい答えを見つけるためにコンタクトセンターのナレッジマネジメントプラットフォームを利用しながら対応します。同時に、感情分析アラートがもっとお客様に寄り添うようにオペレーターに促します。
さて、これらの対応で両方とも解決したとしても、シナリオ1のオペレーターは対応にいっぱいいっぱいで、急いでいるように見えますが、シナリオ2のオペレーターは、お客様のフラストレーションを抑えながら積極的に解決策を提供しているように見受けられます。別の言い方をすれば、前者は、できるだけ問題を解決すること以外に目的がないのに対し、後者はオペレーターを重視したマネジメントの恩恵を享受しているのです。
おそらく、コンタクトセンターのリーダーとして、またお客様として、両方のシナリオに心当たりがあるのではないでしょうか。私たちは皆、素晴らしいカスタマーサービスと、恐ろしいほどひどいカスタマーサービスを経験したことがあります。そこで、ちょっとお客様の立場になってみましょう。シナリオ1とシナリオ2、どちらの方がブランドロイヤリティを維持できる可能性が高いでしょうか?
電話の向こう側にいるオペレーターからしたらどうでしょうか?
今日のお客様は、自分自身でどのように問題を解決するか選ぶことができるようになっています。セルフサービス、チャットボット、オムニチャネルサポートは、これまで以上に柔軟な対応を可能にしています。そこで、オペレーターをお客様のように扱うには、オペレーターをお客様のように扱う必要があります。
まずは、このようなツールを導入することから始めましょう。
オペレーターにフレキシビリティと信頼を提供する
COVID-19のパンデミック以前は、常時リモートで勤務しているコンタクトセンターのオペレーターはわずか13%にすぎませんでした。2021年後半の時点では、その数は82%に急増しています。しかし、ウイルスによる規制が世界中で解除され続けているため、多くの企業がオフィスでの勤務を再開しています。
貴社のコンタクトセンターがリモート勤務であれ、オフィス勤務であれ、重視しなければならないのはオペレーターに対する信頼とフレキシビリティです。COVID-19は、ほとんどの企業がリモートオペレーションに迅速に移行する技術的能力を備えていることを証明しました。ポストパンデミックでもそれは適用されるべきではないのでしょうか?
短期、長期にかかわらず、オペレーターは在宅勤務ができるということは、信頼されている証拠だと思っています。クラウドベースのツールは、彼らの在宅勤務を可能にし、家でもオフィス勤務と同等の安全で高品質なサービスを提供することができます。これは企業とコールセンターのオペレーター双方にとってWin-Winとなります。企業はコンプライアンスを順守しながらビジネスを円滑に稼働し、オペレーターは自身の好きな場所で働くことができます。
より良いwork-from-anywhere(場所にとらわれない働き方)モデルは以下のような機能を提供します。
オペレーターとお客様の関係をパーソナライズする
オペレーターの成功を測定するための指標の多くは、あまり直観的なものではありません。オペレーターは前の対応が長引きアフターコール業務に追われながら、どうやって次のお客様の保留時間を減らすことができるでしょうか?AHT短縮の重圧にさらされたオペレーターは、お客様の問題を本当に理解するために必要な時間を確保することができるでしょうか?企業にとって、顧客満足度よりもとりあえず件数をこなす対応の方が収益に貢献するのでしょうか?
オペレーターが最も望まないことは、どれだけ待たされたかについてのお客様からの文句をを延々と聞くこと、あるいは事後の対応に多くの時間を費やすことでしょう。テクノロジーがあれば、平均的な保留時間は短縮され、日常的なタスクも自動化されているはずなので、オペレーターは先ほど述べた業務に責任を負う必要はないのです。
その代わり、オペレーターがお客様と有意義で親密なつながりを築けるような環境を整えましょう。どのオペレーターがお客様ごとの問題や属性(それに応じたコンタクトのルーティング)に対応できるスキルを持っているかを理解することは、お客様に価値を感じてもらうための有力な方法であり、その過程でオペレーターの生産性が向上します。
パーソナライズされた対応によって、オペレーターは自分の仕事が重要であることを認識し、お客様は自分の意見が聞かれ、理解されていると感じることができます。そしてオペレーターは業務を終える時、対応した件数ではなく、そのやり取りを思い出すでしょう。これらの対応がポジティブなものであったと振り返るのに役立ちます。
親しみやすく、理解力があり、能力が高い効率的なオペレーターに出会うと、それは単なる対応というより、むしろ会話のように感じられます。担当となるオペレーターは、単なる声ではなく、話し相手なのです。また、たとえ二度と接することがなくても、両者は大切にされていると感じることができ、それがビジネスにとって良いことであるのは間違いありません。
オペレーターからのフィードバックを収集
適切なツールを導入し、オペレーターを大事にしているからといって満足せず、常に測定しましょう!
オペレーターが最高のブランドアンバサダーであると信じているなら、何がうまくいっていて何がうまくいっていないのかをオペレーターから聞き、変更を実施することで、耳を傾けていることをオペレーターに示すことができます。小さな変更であっても、そのアイデアを評価することで、オペレーターにとって大きな意味を持つことがあります。オペレーターに今後の実装について尋ねるだけでなく、その実装がオペレーター個人にどのように機能しているか、また、その実装によって仕事がより充実したものになるかどうかを確認することも重要です。
フィードバックを収集するには、さまざまな手段があります。フィードバックの内容はツールやフレキシビリティだけでなく、サポートを受けているオペレーターがどう感じているか、ストレスレベルはどれぐらいか、会社に対する感情移入のレベル、オペレーターの業務目標など、多岐にわたります。
ここでは、いくつかの提案をご紹介します。
では、「コールセンター・オペレーター」は世界で一番ひどい仕事なのでしょうか?それを聞く前に、自分自身に同じ質問をしてみてください。これまでの従業員への接し方を考えれば、良くも悪くも同じ結論に達するはずです。
オペレーターから見て最適な上司になるためのさらなる知識について、詳しくはこちらをご覧ください。