テクノロジーは急速に変化しており、あらゆる規模の企業で業務の遂行方法が変化しています。これは、カスタマーサービスとサポートの時代で特に当てはまります。AI(人工知能)を正しく使用すれば、企業は多くのメリットを得られます。コンタクトセンターにおけるAI活用の1つが、AIチャットボットです。AIチャットボットとは何か、その導入メリットについて見てみましょう。
AIチャットボットとは?
シナリオ型のチャットボットとは異なり、AIチャットボットは自然言語理解(NLU)を利用して、人間の言葉を理解し反応します。AIチャットボットは機械学習を使用します。このAI機能では、時間と利用回数が増すほど、ボットの精度が上がります。
チャットボットが普及し始めたのは、最近のように思えますが、最初のチャットボットは1960年に、マサチューセッツ工科大学(MIT)教授ジョセフ・ワイゼンバウム氏によって発明されました。テクノロジーはそれ以降、驚異的な勢いで進化しました。これまでに、機能が大幅に強化されています。現在、AIチャットボットは、まるで人間のようなやりとりができます。このため、AIチャットボットは、カスタマーサービスに非常に適しています。
AIチャットボットの普及率は?
今後5年間で、カスタマーサービス分野におけるチャットボットの利用は31.7%増加する見通しです。当社の調査によると、企業の70%以上が、AIチャットボット導入により顧客の問題解決がスムーズになると答えており、40%の企業は、AI向け投資を増やすと回答しています。
AIチャットボット導入による10つのメリット
以下に、AIチャットボットを業務へ組み込むメリットを紹介していきます。AI活用によるメリットが現在および将来にわたって、企業をどれだけサポートできるか、考えてみてください。
1.スピーディーな問題解決
顧客はスピーディーな問題解決を求めていますが、エージェントにつながるまで長い時間待たされた経験がある顧客は少なくありません。待ち時間が長いと、さらなるクレームにつながります。
高品質のAIチャットボットをサイトに統合すれば、待ち時間はほぼ無くなります。顧客はAIへ質問を投げ、素早く回答を得られるようになります。問題が複雑になりAIボットが対処できる範囲を超えた場合、エージェントにルーティングできます。顧客が本人確認を繰り返さずに済むよう、詳細情報は必ずエージェントへ転送するよう設定するのがコツです。
2.一貫した回答
同じカスタマーサービスであっても、担当者や問い合わせるタイミングで、回答が異なることもあります。これは顧客を混乱させます。AIチャットボットを使用すれば、回答がいつも一定かつ正確なため、その可能性が無くなります。
3.24時間年中無休のサポート
あらゆるサービスやサイトに24時間アクセスできる今日では、人々は早急な回答を求めます。有人サポートだと、就業時間内でしか対応できませんが、AIチャットボットは24時間無休で稼働が可能です。
すぐに簡単に答えを得られず、必要なときにサポートが提供されなければ、顧客はよりサービスが充実した他社へ乗り換えるかもしれません。競争社会であり、選択肢は豊富に存在します。消費者はこれまでのように我慢しようとはしません。
4.運用コストの削減
AIチャットボットを使用すれば、人件費を節約することができます。これは、チャットボットがエージェントへつなげることなく、多くの問い合わせを処理できるためです。このため、人間のエージェントがそれほど必要なくなり、カスタマーサービスの予算をより最適化しやすくなります。
エージェントを雇う費用がどれだけかかるか、想像してみてください。給与だけでなく、研修や施設の利用料も考慮しなければなりません。エージェントが離職すれば、新たにエージェントを雇い、再度研修しなければなりません。チャットボットは、ずっと安価に済むソリューションです。
5.顧客との関係強化
AIは顧客との関係を強化する可能性を秘めています。ただし、このためにはチャットボットを正しく設定する必要があります。顧客はパーソナライゼーションを求めています。多くのチャットボットが、顧客の応答を分析して瞬時にデータを提供しています。それらは顧客との会話で顧客の名前を呼んで、関係を構築しています。このため顧客はリラックスでき、積極的に会話を続けたいと思うでしょう。
6.エージェント業務の補佐
よくある問い合わせに素早く答えられるチャットボットを用意すれば、エージェントは同じ回答を繰り返す必要はありません。一方で、顧客はエージェントに電話する必要性を感じなくなるため、有人サポートへの問い合わせを減らすことができます。
AIテクノロジーを使用すれば、エージェントはボットが処理できる単純なタスクではなく、より複雑な応対に集中できます。さらに、チャットボットはリアルタイムで質問に回答できるため、平均処理時間(AHT)を短縮します。
7.人的ミスの削減
エージェントがどれほど優れていても、人的ミスは避けられません。しかし、AIチャットボットでは心配のない問題です。チャットボットへ入力する情報が正しければ、正しい回答を提供できます。
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AIチャットボットは、常に学び続けることで、精度が高まります。精度を高めることで、カスタマーサービスや企業への評価が高まります。エージェントが誤った情報を顧客に提供する場合の損害を考えてみてください。企業に対する信頼を落とし、最終的には収益を減らすことになります。
8.顧客のニーズに応える
顧客の中には、電話よりもチャットを使いたいという人もいます。チャットボットは、こうした顧客のニーズに応えます。彼らは、担当者とつながるよりは、こうしたソフトな方法を通じて、必要な情報を得ることを好みます。
消費者がチャットボットを好む理由には、言い回しに気を遣う必要がない、サービス担当者に誤解されると感じることがない、などがあります。チャットボットは、気軽にいつでも回答を得られる便利さを顧客に提供します。
9.使うほど精度が増す
AIチャットボットは、使えば使うほど賢くなります。機械学習を通じて、チャットボットは言葉の意図をより明確に理解できるようになり、顧客が求める回答をすることができます。
チャットボットは、回答に対する顧客の反応も学習できます。ボットは新しい言葉遣いを学び、微妙な表現の違いを理解します。ボットはデータを利用して、応対で何がうまく行き、何がうまく行かないかを判定するため、記憶に間違いがありません。
10.感情に影響されない
待ち時間が長くなると、エージェントはより多くの不満を持った顧客やクレームに対応しなければなりません。これは、エージェントの感情や応対品質にも影響を与えます。AIチャットボットは無限の忍耐を備えています。AIは感情を持ちません。感情的なチャットボットに出会うことはないでしょう。
AIチャットボット導入のヒント
AIチャットボットはコールセンターでの普及が進んでいます。AIチャットボットの導入ヒントとして、大規模にチャットボットを展開する前に、テスト運用から開始し、拡張方法を予め決定してください。ボットが行うタスクを指定して、小規模に開始します。準備ができれば、拡張する方法と時期を決めます。一般に公開する前に、社内の技術者を交え、運用テストを実施してください。
どの企業も、差別化を図ろうとしています。このため、AIチャットボットの要件も独自性がなければなりません。多くのAIチャットボットサービスを提供する企業が存在しますが、提携する企業が、統合してトレーニングすることが容易なAIチャットボットを提供できるか確かめてください。
企業の多くが、チャットやバーチャルエージェントは便利だと認めていまが、顧客の期待に応えるには、さらなるスマート化が必要だとも考えています。チャットボットを適切に設計しないと、資産ではなく負債になってしまいます。