在宅化・DXを加速させるクラウドコンタクトセンターとは

November 1, 2022

多様化する消費者ニーズや在宅化に対応するため、クラウド型のコンタクトセンターが注目を集めています。クラウドコンタクトセンターは、従来のオンプレミス型とどう違うのか、クラウド型を導入するメリット、実際の導入事例などをご紹介します。

クラウドコンタクトセンターとは?

クラウドコンタクトセンターとは、電話やメール、SNSなどあらゆるチャネルで、顧客対応に必要な機能が使えるインターネットベースのソフトウェアです。

従来のコールセンターといえば、ハードウェアやネット回線、専用の拠点など大規模な設備が必要というイメージがありましたが、クラウドの場合はパソコンとインターネットがあれば、どこでも利用可能です。また、1席から設定可能なサービスもあるため、事業規模に関わらずスモールスタートできるのも特徴です。

オンプレミス型との違い

従来のオンプレミス型の場合、コンタクトセンターを設置するには、システムの構築や設置工事をすべて自社で行う必要があります。自社のニーズに合わせて柔軟にカスタマイズできる一方で、初期の導入費用が高額になりがちです。

また運用に関しても、自社のIT担当者が、ソフトウェアのアップデートや日々のメンテナンスを行う必要があります。高いセキュリティやカスタマイズ性を実現できる一方で、それらを維持するのには、時間やコストがかかります。

一方でクラウド型の場合は、ネット環境がある場所であれば、どこでもすぐに利用できます。設置工事や開発費は不要で、メンテナンスに関しても、サービスを提供するプロバイダー側が行います。

オンプレミス型が主流だった時代には、コンタクトセンターを持つのに、ある程度の事業規模や資金が必要でしたが、クラウド型の普及とともに、その概念は変わりつつあります。中小企業やスタートアップ企業でも、最低限の費用でコンタクトセンターを持つことができ、事業の成長に合わせて、コンタクトセンターを拡張することもできます。

クラウドコンタクトセンターのメリット

クラウドコンタクトセンターの5つのメリット

クラウド型には、どのようなメリットがあるのかについて見ていきましょう。

1.導入・運用コストの削減

オンプレミス型のように、サーバーの設置やシステム開発は不要なため、クラウド型の場合、初期の導入費用を大きく抑えることができます。クラウドシステムでは、席数や従量ベースなど利用形態に応じた課金モデルや月額料金が設定されており、数万円から始められるサービスもあります。

2.短期間で導入可能

開発や設置工事を必要とし、稼働するまでに数ヶ月かかるオンプレミス型とは異なり、クラウド型のコンタクトセンターであれば、数週間以内に立ち上げから稼働までを行うことができます。

3.セキュリティの強化

ハイブリッドなクラウドソリューションの場合、機密性の高いデータは自社専用のクラウドで、機密性の低いデータは、低コストのパブリッククラウドで運用といった柔軟な運用が可能です。また地震などの自然災害や障害が発生した場合、オンプレミスでは対応しきれないことが多いですが、クラウドの場合は、システムがダウンする時間を最小限に抑え、業務に差し支えることなく、安定した運用を行うことができます。

4.優れた拡張性

小規模で始めたとしても、クラウド型であれば事業成長に伴い席数を増やしたり、必要な機能を追加することができます。テクノロジーの進化に合わせて、新機能をすぐに取り入れることができるのも、クラウドの特徴です。対応が増えるピーク時やシーズンなど、需要に応じて席数を増減させることで、柔軟にコスト調整をすることもできます。

5.中小企業でも取り入れやすい

数席から始められるため、試しに導入してみたい、コストを抑えたいといった企業にとって、導入しやすいのもメリットです。また、AIや自動化といった最新のテクノロジーというと、コストがかかり大企業だけが使えるもの、というイメージがあるかもしれません。しかし、クラウド型であれば、パッケージ機能としてすでに含まれている場合もあるので、価格を抑えて高度な機能やテクノロジーを試すことができます。

こうした上記のメリットを踏まえると、クラウドコンタクトセンターは、以下のようなニーズを持つ企業に最適と言えます。

クラウドコンタクトセンターでできること

クラウド型のコンタクトセンターは、コールセンターが抱える課題に対してどのようなソリューションをもたらすのかを見ていきたいと思います。

・多様な働き方や在宅ワークを推進

インターネット環境さえあれば、どこでも利用できるため、在宅環境を整備したり、場所を問わずにコンタクトセンターを設置することができます。例えば、地方に住んでいるオペレーターや、オペレーターがごく限られた時間しか働けない場合でも、シフトに入りやすくなるため、サービスレベルや繋がりやすさの向上にもつながります。

在宅ワークで懸念となっているセキュリティも、仮想デスクトップ(VDI)などを利用すれば、オペレーターが使うパソコンにデータが残らないようにしたり、オペレーターがPC上でどういう作業をしているのかをチェックすることもできます。

・多様化する顧客のニーズに対応

マルチチャネル機能を提供するクラウドサービスを使えば、チャネルごとに違うベンダーと契約する必要はなく、電話やチャットに加え、LINEやソーシャルメディアといった多様なチャネルに1つのツールで対応することができます。

さらに、複数にまたがるチャネル応対でも、同じ担当者が応対したり、担当者が変わっても引き継ぎできる機能があれば、一貫性のあるサポートが提供でき、消費者は同じ質問を繰り返す必要はありません。

・業務の効率化

高度な分析機能があるシステムであれば、日々の通話記録データをもとに、自動化できる業務を自動で抽出することができます。オペレーターからヒアリングしてレポートにまとめる、といった作業の手間を省くことができます。

・オペレーター支援

リアルタイム性に優れたクラウド型では、SVやマネージャがオペレーターの応対履歴をリアルタイムで確認できるため、オペレーターの仕事やナレッジ支援を必要な時にすぐに行うことができます。

・顧客体験(CX)の向上

FAQやチャットボットによるセルフサービスの拡充や、マルチチャネル対応で多様化する顧客のニーズに応えることで、業務効率やコスト改善といった企業にメリットをもたらすだけでなく、顧客体験の向上にもつながります。

NICEが行ったCXに関する調査では、消費者の7割が、顧客体験が購買に影響すると回答しています。一方、顧客体験に関する機能を導入している企業は限定的で、顧客体験における消費者のニーズと企業側の体制にギャップがあることがわかっています。

・一歩先のDXを実現

FAQやチャットボットを導入するだけで終わるのではなく、通話記録や複数チャネルにおける応対履歴を一括で分析、活用することで、FAQページを定期的に自動で改善したり、チャットボットの回答精度を高めることが可能です。

クラウドコンタクトセンターの導入事例

実際にクラウドコンタクトセンターを導入した企業の事例をご紹介します。

株式会社アイティフォー様の事例

カスタマーサポート業務を行う株式会社アイティフォーは、分散拠点や在宅ワークを推進するため、クラウド型コンタクトセンターシステムを導入。また、オペレーターが即座に顧客情報を確認できるよう、CRMシステムであるセールスフォースとも連携を行いました。

クラウドでの運用開始後も従来通りの業務が遂行でき、IVRやAIベースのルーティングによる、応対時間の短縮を見込んでいます。

株式会社アイティフォー様の事例詳細

ゲートファーム株式会社様の事例

ビジネスコンサルティングを行うゲートファーム株式会社では、社内で働く数十人のメンバーはすべて在宅勤務。大企業との仕事もあることから、アウトバンドコール業務で、在宅、セキュリティ、スモールスタートに優れたクラウド型コンタクトセンターシステムを導入しました。

導入後間もなく、アウトバンドコールの接続率が、35%から50%へと大幅に向上。シンプルな導入で高品質の電話対応を実現しています。

ゲートファーム株式会社様の事例詳細

真のクラウド化を支援するNICEのソリューション

NICEが提供する「CXone」は、コンタクトセンター運営に必要な機能が搭載されたクラウドソフトウェアです。インターネットとPCが1台あれば、どこでもすぐにコンタクトセンターを立ち上げることが可能。1席から手軽に導入することができ、マルチチャネル対応顧客分析、ワークフォース最適化など、一歩先を行くコンタクトセンターの構築を支援します。

NICE CXoneの特徴

NICEのサービスは、お客様の課題やニーズに応じて、柔軟に対応することができます。クラウドコンタクトセンターに興味がある方は、お気軽にご相談ください